新井白石著『古史通』を長久保赤水がわかりやすく記した『古史通大意』。その解説書を長久保源蔵(片雲)氏が自費出版。-茨城新聞-令和3年6月13日

新井白石(1657~1725)の著書『古史通(こしつう)』は、旧事紀(くじき)や古事記、日本書紀など神代から神武天皇に至る古代史解釈の書(1716年成立)。神話を歴史的事実として合理的に捉えている。

それを、よりわかりやすく記した長久保赤水(1717~1801)の著書が『古史通大意』です。今回、赤水顕彰会の顧問でもある長久保片雲こと長久保源蔵氏は、赤水関係資料群の国の重要文化財指定記念と、ご自身が90歳を迎えたことを祝して自費出版されました。「大意」の内容に用語説明などを加えた解説書で、長久保赤水直筆(原文)のコピーが掲載されています。

👉クリックし、記事を拡大してご覧ください

🔶長久保赤水著『古史通大意』 長久保片雲編より🔶

赤水は「白石先生,諸書を参考にして,古史5巻を撰(えらば)れたるは,実に千古の巨眼卓識なるべし」と誉め称え敬意を表していますが,「然(しか)れども其の言葉シゲシ(繁し・多過ぎ)。急卒(きゅうそつ)に其の要(要点)を見がたし(難い)」と批判を述べ,「余(赤水)其一通りの大意(だいたいの意味)を考えて此にしるしぬ」と著述の動機を書き留めています。

後半では,古書を鵜呑みにしている人を憂え,各読者は「見識(物事の本質を見通す優れた判断力,また,物事についてのしっかりした考え)あるべき事なり」と注意を喚起しています。そう呼びかけるだけあって,まるで現代人のような感覚で鋭いメスを入れ,独自の見解を示しています。

ただし,それから200年余を経過した現代の歴史家から見て,総てが満点かという疑問は無きにしも非ずでしょう。それこそ「見識を持って」読まれるべきです。赤水理解の一助になれば幸甚です。(長久保片雲)

【長久保赤水著『古史通大意』長久保片雲編】A5版・60頁、1冊 1,000円(税込)

【お問合せ】長久保赤水顕彰会 電話 090-1846-6849(佐川春久会長)