「赤水が地図大衆化」顕彰会長講演
生涯と功績学ぶ 茨城・水戸
現在の茨城県高萩市出身の地理学者、長久保赤水(1717~1801年)の生涯と功績を紹介する歴史講座が11日、同県水戸市南町2丁目の茨城新聞みと・まち・情報館(水戸証券ビル1階)で始まった。講師で長久保赤水顕彰会の佐川春久会長は赤水について「最大の功績は地図を一般大衆化したことと、天文学の知識を庶民まで下ろしたこと」と強調。85年の生涯をたどりながら、赤水の手がけた地図を解説した。
講座は、3回シリーズの初回。集まった市民らが熱心に耳を傾けた。
赤水は江戸時代、初めて経緯線の入った日本地図を完成させた。測量して作った伊能忠敬の地図よりも42年早い。伊能図は江戸幕府で厳重に管理され、庶民の目に触れることはなかった一方で、赤水の地図は広く庶民に広がっていたと解説。「赤水図は100年間のベストセラー。世界6カ国で44枚の赤水図やロシア語に訳されたものも見つかっている」と述べた。
国の重要文化財にも指定されている「改正日本輿地(よち)路程全図」(赤水図)は、海路や郡名をはじめ、6千もの地名が書かれている。佐川会長は赤水図について「見れば見るほど新しい発見がある。不思議な魅力がある」と語った。
佐川会長は近年、県内外で赤水に関する企画展が開かれたり、教科書や入試問題で取り上げられたりしている現状にも触れ、「水戸が誇る先人が、ようやく全国展開されるようになってきた。ますます広がりを見せている」と期待を寄せた。
第2回講座は、5月9日に「国重要文化財に指定された赤水の関係資料」、第3回は6月13日に「天文学分野の業績、赤水が作った日本地図が海外に与えた影響」と題して、それぞれ開かれる。いずれも午前10時半から正午。
申し込み、問い合わせは同情報館(電)029(306)9500(平日午前10時~午後5時)。