【県立歴史館50年 史料に光】 50万点超え保存と活用(茨城新聞令和6年6月13日掲載)

【県立歴史館50年 史料に光】
50万点超え保存と活用(茨城新聞令和6年6月13日掲載)
 県立歴史館(水戸市緑町)が9月、開館50周年を迎える。元知事の岩上二郎氏(1913~89年)が主導する形で、収集史料の保存と活用を目的に74年に設立。当初から文書館と博物館の二つの機能を備え、全国的に注目を集めた。現在は、本県に関する史料が集積する随一の総合施設として、古文書や行政資料から、歴史、美術工芸、考古などの史料を含めて56万点以上を収蔵。一般への公開や多彩な展示を通じ、本県の歴史と文化財の魅力を伝えてきた。
■県史編さん
戦後、本県2人目の公選知事となった岩上氏は在任中、「農工両全」の思想を
掲げ、鹿島開発や研究学園都市の筑波誘致、現在国営ひたち海浜公園となっている米軍射撃場の返還などに取り組んだ。
 一方、高度成長期の開発により史料の散逸などが進む中、63年には県史編さん事業に着手し、関係史料の収集と保全に努める。手本としたのは、「大日本史」編さんに携わった水戸藩2 代藩主、徳川光圀(1628~1701年)。「入念な史料調査を基に史実をありのままに記述し、信頼できる史書を作る」という光圀の考えを取り組みの柱に据えた。
「(光圀の)真摯な態度には、大いに学ぶべきものがある」と著書でも述べるなど、岩上氏は史料を重視する姿勢を終生貫く。
【岩上元知事、設立に尽力】
■車の両輪
県史編さん事業により、現存史料の活字化が進み、多くの人の目に触れることになると、岩上氏は発掘・収集された史料の保存の重要性を
強く認識。県史編さんと史料保存を「車の両輪」と捉え、文書館の設立を構想する。